ヘリテージ
ウエストウッド パール:ランウェイ物語
2022/07/02 — Vivienne Westwood
時の経過とともに、パールは階級制度の上流から下流へとその歩みを進め、現在はメインストリームに浸透しています。Vivienne Westwoodによるパールの使用とパンクムーブメントは、この文化的変遷の一部を担ってきました。パールの豊かな歴史とパールが持つ意味を常に結び付けながら、これまでの秩序をひっくり返してきたのです。
時代を超えて愛されるパールは、今なお、数世紀にわたる議論のテーマであり続けています。ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』や、ヴィニョンによって描かれた愛の女神「ヴィーナス」などのルネサンス絵画は、この貴重な生体鉱物をモチーフにした中でも最も有名な作品です。
「一粒パールのピアスや、真ん中にパールドロップがあしらわれた三連パールのネックレスは、あらゆるジュエリーの典型だと思いました。ほとんどすべての年代で身につけることができ、ひときわスタイリッシュに見えます。そこで私はその観点からジュエリーを選びました。それらを完璧に、そしてできるだけ典型的なものにしようとしたのです」
— 「Portrait」コレクションに関するヴィヴィアンの発言より
「宝石の女王」としても知られるパールは、何世紀にもわたり、多くの文化において地球上で最も貴重な天然鉱物とみなされてきました。
一説によれば、パールは、海岸で食物を探していた人々によって初めて発見されたそうです。世界で最も古いこの宝石は、有史以前から賞賛の的となってきました。牡蠣が飲み込んだ露の玉からパールが作られたとする伝説もあります。パールのかけらは、紀元前420年頃のものとされる古代ペルシアの姫君の石棺からも発見されました。
また、紀元前2300年代初期には、中国の王族に贈り物として献上されていたようです。古代中国では、パールのジュエリーはまとう人の純潔を表すものとされていました。中世ヨーロッパの暗黒時代には身の安全を守る装飾品と信じられ、騎士たちが戦いの場で身につけたといわれます。
ラテン語では、とても貴重なものを意味する「margarita(マルガリータ)」と呼ばれました。ローマ時代以降、パールは、交易に欠かせない重要な商品となります。古代ローマでは、主要なステータスシンボルと考えられていました。ユリウス・カエサルは、王族以外の者がパールを身につけることを禁じる法律まで制定しました。
15世紀から16世紀にかけて、南アメリカと中央アメリカでこの貴重な宝石が発見されると、パールはその後まもなくヨーロッパの海岸に上陸し、上流階級の人々に売られるようになります。チューダー朝時代、派手好きとして知られたヘンリー8世は、自身のまとう服にパールを縫い込ませたといわれます。彼のパールへの愛は、その娘であり後継者であったエリザベス1世に引き継がれ、権力の象徴として日常的に身につけられました。イギリス史において、この時代はのちに「真珠時代」と呼ばれるようになります。
Vivienne Westwoodのパール
パールが持つ文化的重要性と意味を享受する一方、私たちは、パールの養殖が持続不可能な慣行であることにも気づいています。これこそ、ブランドが、環境への影響が少ないグラスベースパールやレジンパールを代替品として採用する理由です。
1990年秋冬コレクション「Portrait」で発表された「The Three-Row Pearl Pearl Drop チョーカー」は、19世紀にハートフォード公爵が収集し、ロンドンのウォレス・コレクションに収蔵された、フランスの絵画や陶磁器、家具へのヴィヴィアンの愛から影響を受けてデザインされました。コレクションの華やかな生地を引き立てるクラシックなVivienne Westwoodのパールジュエリーには、こうした美術品の上質さや豊かさが反映されています。
「一粒パールのピアスや、真ん中にパールドロップがあしらわれた三連パールのネックレスは、あらゆるジュエリーの典型だと思いました。ほとんどすべての年代で身につけることができ、ひときわスタイリッシュに見えます。そこで私はその観点からジュエリーを選びました。それらを完璧に、そしてできるだけ典型的なものにしようとしたのです」–「Portrait」についてのヴィヴィアンのコメント。
ヴィヴィアンの作品はしばしば、彼女の議論を厭わない姿勢や、慣習への挑戦的な態度によって特徴付けられます。1987/88年秋冬コレクション「Harris Tweed」でヴィヴィアンがテーマにしたのは、「イギリスらしさ」や上流階級、君主制のステレオタイプでした。ショーでは女王をイメージしたくるくるのカーリーヘアがフィーチャーされ、帽子職人のスティーブン・ジョーンズは女王の王冠をパロディした柔らかなハットを制作しました。また、あらゆるアクセサリーにはパールが使われていました。真のVivienne Westwoodのファッションにおいて、パールは女性モデルのスタイリングにだけ使われるものではありませんでした。男性モデルたちもまた、その首元にパールをまとってランウェイを歩いたのです。
1990年代になっても、パールは依然としてブランドのコレクションのイメージを構成する重要な要素であり、1992/93年秋冬「Always On Camera」や、1994/95年秋冬「On Liberty」、1995年春夏「Erotic Zones」コレクションにも登場しました。現代に至るまで、パールモチーフはブランドの代名詞であり続けています。
2022年春夏の「Three-Row Pearl Bas Relief チョーカー」は、スワロフスキーによるグラスベースパール92粒を三連に連ねたジュエリーです。手作業で結ばれたこのチョーカーは、ブランドのシグネチャーである浅浮き彫りのオーブをフロントと中央にあしらったもので、ゴールドトーンとシルバートーンの2色で展開されました。
Vivienne Westwoodの「Pearl」コレクションは、一部ブティックおよびオンラインにてお求めいただけます。